すべてフリーハンドで製作!切り絵アーティスト 樫尾容子さん
曼荼羅をモチーフにした切り絵を手に穏やかに微笑む女性。北海道新聞で見つけた記事に目が釘付けとなり、ご本人にお話を伺ってきました。その方は釧路在住の主婦・樫尾容子さん。この緻密な作品は何か特別な道具を使って製作されているの?、どのくらい時間がかかるのだろう?、などなど質問してきました。
きっかけは「大人のぬり絵」から
樫尾さんは高校時代に美術部に所属していたこと、また、幼い頃から手先が器用で手芸や編み物なども得意だったそうです。この緻密な曼荼羅切り絵作品に取り組むきっかけとなったのは「大人のぬり絵」からでした。「ぬり絵」にハマってしまったものの、それだけに終わらないのが樫尾さん。次に「ぬり絵」の土台となるイラストをコピーして切り絵にしてみようと思いつきました。さらに、自分のオリジナルのデザインを切り絵にしたらもっと面白いはず、と曼荼羅のモチーフをアプリを使って描き始めたのです。曼荼羅を作品にしてみようと思ったのは、トルコのモザイク柄のような細かいものや、放射線状に広がるデザインがお好きだったことから。
細かい作業が大好き
実際の作品を拝見したところ、目がチカチカするほど細かいデザインで、小さな丸い穴がびっしりと開けられていたり、まるでレース編みと間違えるほどの繊細な模様が切り抜かれています。これらはすべて樫尾さんのフリーハンドで製作されています。使用する材料は町の文房具屋さんで手に入る400円ほどのデザインナイフと呼ばれるカッター。こだわる点といえば、カッターの刃をこまめに交換すること。一日に3〜4枚交換するそうです。作品に使用する紙は基本的にA4のカラーのコピー用紙です。
「細かい作業が好きで、どんどん複雑で細かいデザインに挑戦するのが楽しいんですよ」と、にこやかに話してくださる樫尾さん。
ちなみに集中する日は一日に6〜7時間も作業をされるそう。そんな日は昼食を取るのも忘れ、日が暮れてきたことにふと気づかれるそうです。
Instagramから世界へ
樫尾さんの作品は今年の6月にフランス・パリで開催された「サロン・アート・ショッピング・パリ」という国際アートフェアに出展されました。この出展のきっかけとなったのはInstagram。2019年よりご自身の作品をInstagramで発信していたのが日本の文化をPRする団体(一般社団法人ジャパンプロモーション)の目に留まりお声がかかったのです。このアートフェアで樫尾さんの作品に触れた現地の人々からは、「この曼荼羅のモチーフから禅を感じる」、「宇宙との繋がりを感じる」のような感想が聞かれたそうです。
今後は個展も開きたいと意気込む樫尾さん。観ていると曼荼羅の世界に吸い込まれて行くような樫尾さんの作品。釧路の街で展示される日が楽しみですね。
樫尾さんの作品はInstagram(@youyan3)で発信されています。
写真出典:エリボンヌ