釧路の「夜霧」で日記を書いてみませんか?

「万年筆は文具の王様です」

釧路の老舗文具店「佐藤紙店」の佐藤公一郎社長は、万年筆の魅力を力強く語ります。

東京に万年筆の専門店ができたことを知ったのが15年前。「うちの倉庫にも絶版となった名品やパイロット社の75周年モデルなど、在庫が200本近くあったので、説明書きを付けて展示してみよう」と、すぐに専用コーナーを設けたそうです。同時に万年筆の修理を行う「ペンクリニック」を開催すると、愛用の万年筆を持ってやって来たお客さんが100人以上も集まったとか。

釧路にも万年筆の愛用者がこんなにいると知り、それなら自分だけの専用インクを作れる「インク工房」をやってみようと、その4年後に「インクブレンダー」という専門家を招いてイベントを開催。これがきっかけとなり、夕日の街・釧路の彩りを再現したオリジナル・インクを製造することになります。その記念すべき第1弾が「夜霧」です。

深い夕闇にほんのり明かりが差したような「夜霧」は、地方オリジナルとして万年筆の愛好家の間で評判となり、2年前には第2弾の「湿原グリーン」を発売しました。最初の写真は、筆者が20年前に買って”秘蔵”していたパーカーの万年筆で2種のインクを書き比べてみた(拙筆ですいません)ものですが、どちらも釧路らしい色合いに見えてきませんか?

最近、こうした「ご当地インク」は静かな人気となっているらしく、ついに専門書が出版され、この釧路オリジナルも掲載されました。そんな評判を受けて、マニアからは次の新製品を期待する声も上がっています。

「次の候補はありますが、まだ公表できないんですよ(笑)」と、第3弾に向けて佐藤社長はやる気十分のようです。

「釧路インク」を使って秘密の日記を書いてもいいし、入学や就職祝いとして、万年筆と一緒に子どもにプレゼントするなんて素敵じゃないですか。

reported by CURVY